
「影踏み」とは
『影踏み』は横山秀夫さんが書かれたミステリー小説です。
私はこの作品の事を全く知らなかったのですが、オーディオブックの聴き放題コンテンツに追加されていたので、聴いてみたのですがめちゃくちゃ面白かったのでご紹介します。

主人公:真壁修一
この物語はプロの泥棒で「ノビ師」と呼ばれる忍び込みを得意としている”真壁修一”がさまざまな事件に巻き込まれていく姿を描いた短編連作形式の小説です。
真壁には双子の弟で”啓二”がいたのですが、15年前に死亡しています。
ところが死んでいるはずの啓二の声が真壁には聞こえています。
そしてまるで真壁の耳の中で生きているかのように会話を交わします。
それも幻聴などではありません。
啓二には一瞬でお札のシリアルナンバーを暗記したり、壁に貼りだされている当番表をものの数十秒で記憶できる能力を持っていて、たびたび真壁を助けてくれます。
生きている真壁は年齢を重ねて34歳になっていますが、啓二は亡くなった時の19歳のままで双子でありながら年齢が違うというのも面白さになっています。
双子でありながら年齢のギャップがあり、また耳の奥で生きているという驚きの設定ですが違和感は全く感じません。
独特の世界観
真壁修一はプロの泥棒で作中でも何度も仕事をしているので、世間一般で言えば悪い人となると思います。
ただ物語を聴いていくとただの悪人という感じではなく、強い意志を持って仕事をしていてかっこいいと思えました。
全編を通してハードボイルドな世界観、そしていくつもの巻き込まれる事件の真相が解き明かされたときに感じる何ともいえない郷愁感などが魅力です。
他にも幼馴染のヒロインとの恋の行方や、耳の奥に生きる啓二の未来などさまざまなフックが仕掛けられていて、聴き始めてすぐに「影踏み」の世界へ引き込まれていきました。
オーディオブックで聴く良さ

私は「影踏み」をオーディオブックで知って聴いたのですが、おそらく「影踏み」の魅力を最大限に引き出していると思います。
池田秀一さんの語りは重厚で、ハードボイルドな世界観を完璧に表現されています。
また主人公の真壁修一を演じている関智一さんも実力派の声優さんで、一言では言い表せない真壁の心境をセリフの一つ一つで見事に表現されています。
その他にも登場する全ての人物にドラマがあり、活字で読むのとはまた違った味わいで楽しませてくれました。
これぞオーディオブックの真骨頂だと思います。
聴き終わった後の余韻
ストーリーの中身については触れないようにしますが、最後まで聴いたあとに残る何とも言えない余韻は最高です。
ぜひ「影踏み」をオーディオブックで聴いてみてください。
きっと人生を楽しく生きるための心の糧になると思います。